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衛星によるピラミッド探査と古代エジプトの遺跡発見について

エジプト・ナイル川西岸の砂漠地帯(通称ピラミッド・ゾーン)には、文献上、砂に埋もれた未発見のピラミッドがまだ残っていると考えられています。 東海大学情報技術センターでは、1994年から早稲田大学古代エジプト調査室と共同で、「衛星データによるピラミッド探査」を主題とする研究を行っています。
この研究において、多衛星の画像データ、DEMデータ、考古学データを組み合わせ、ピラミッドに象徴される王朝時代の大型建造物の特徴と立地条件等に関して調査した結果、カイロ南方約30㎞のダハシュールにおいて、これまで報告されていない古代エジプトの広大な遺跡が発見されました。
発見された遺跡は、『ダハシュール北遺跡』と命名され、そこからは、今からおよそ3400年前、エジプト新王国時代のトゥーム・チャペル(ピラミッドの付いた神殿型貴族墓)と推定される大規模な遺構と、それを中心とした広大な墓域が見つかっています。
発掘作業は今も続いており、これまでの調査によって東西約47m、南北約17mの日乾煉瓦造の壁体基礎部、約13mにおよぶ石灰岩の石組みによるシャフト、それに続く地下室、花崗岩製の大型石棺、石灰岩製のキャップストーン(ピラミッド頂部)、そしてツタンカーメン王とその妃アンケセンアメンの名の刻まれた指輪、小神像、彩色レリーフ片など、4000点を超える多数の遺物が出土しているほか、2002年春の第8次発掘調査では、日乾煉瓦遺構の周域からさらに新たな地上構造物や最大規模のピラミディオンなども見つかりました。
古代エジプトを対象に、衛星画像解析によって探査地を選定し、遺跡の発掘に成功したのは本例が学史上初めてであり、今後の調査の進展が期待されます。

調査対象地域全体の衛星データ:遺跡検知地点
LANDSAT/TM ©TRIC

ダハシュール北遺跡 (印の部分)の衛星画像
KVR-1000 ©TRIC/Sovinformsputnik

衛星探査により発掘に成功したダハシュール北遺
Photo: Ohmura

日乾煉瓦遺構と出土品
Photo:早稲田大学エジプト学研究所

トゥームチャペルの想定図
画像:西本真一・NHK-CG